I Still Love You
そんなモヤモヤとしたまま日葵は仕事を終えようとしていた。
予定を見れば壮一は外へと出ている。
戻りは未定。
話したいわけでもないが、何か釈然としない気持ちを持て余しながら鞄を手にして会社から出ると、知った顔を見つけて足を止めた。
「長谷川、終わり?」
柔らかな笑顔をみせるあの日以来会っていなかった崎本に、日葵も微笑んだ。
「お疲れ様です」
「その表情を見る限り、今日も付け入るチャンスかな?」
「なんですか?それ」
少しふざけたようなその言葉に、日葵は苦笑した。
「幸せいっぱいの長谷川なら笑顔を見たら諦めようと思うけど、そうじゃなさそうだから」
日葵の心のうちを簡単に見抜く崎本に、日葵はキュッと唇を噛んだ。
「明日は休みだ…飯でも行こう。断るのはなし」
珍しく言い切った崎本に、日葵は小さく頷いた。