I Still Love You
校門を出ても、いろいろな人の視線はやはり壮一に向けられ、昔からの事とはいえ、日葵はチラリと壮一をみた。

中には、隣に日葵がいるのも関わらず、どうみても年上の大学生が遠慮なしに壮一に声をかける。

「ねえ、どこか行かない?」
「いえ、まだ学生なので」

少しだけ微笑を浮かべて、答える壮一から日葵は視線を逸らした。


「そのクールな笑顔もきれい!ねえ、いいじゃない少しだけ。ね?」
なおも食い下がることのない、女子大生2人に壮一はどうするのだろう?と日葵は壮一の様子をうかがった。

「本当に、すみません。今日は母の誕生日なので帰らないといけないんです」
作り笑いと、初対面の人にはわからないだろうが、綺麗な笑顔を2人に向けると、何も言わず日葵の手を引いて歩き出した。
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