I Still Love You
昨夜の崎本のことも、今日からの壮一との出張も、すべてが気が重く日葵は足取り重く駅へと向かっていた。

ぼんやりと歩いていると、車のクラクションが後ろから聞こえた。
その音に振り向くと、横に静かに壮一の車が止まる。

「長谷川」
ハンドルに片手を掛け、窓から呼ぶ壮一に日葵は何とも言えず複雑な心境が覆う。

「おはようございます。チーフ」
なんとか仕事用の笑顔を張り付けると、壮一の顔をみることなく頭を下げた。
そんな日葵の様子に、小さく壮一が息を吐いたことなど日葵は知らない。

「おはよう。今日は悪いな。乗ってくれ」

「大丈夫です」

無意識に零れ落ちた自分の冷たく低い言葉に、日葵は後悔しても遅い。
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