I Still Love You
表情をまったく崩さずそのまま歩いているようだったが、少しだけその視線にうんざりしているのが日葵にはわかった。
昔はよく笑ったし、日葵にとって優しくなんでも話せる相手だった。
今はそう言うわけにはいかなかったが、ずっと見ているせいか少しの壮一の変化に気づいてしまう事に、日葵は少しうんざりした。
「そうちゃん、大丈夫?」
「香水……吐き気がする」
ぼそりと呟いた壮一に、日葵はくすくすと笑い声を上げた。
「はい。お水」
「人が苦しんでるのに笑う奴がいるかよ」
日葵からペットボトルを受け取り一口飲み、呟くように言った後、日葵の手をギュッと握りしめた。