I Still Love You
「それって……」
「悪い。本当に俺って言葉が足りないな……。疲れてるならって意味」
小さくため息を付くと、ぼやくように壮一は言葉にした。
「車で帰ると時間がかかるから。新幹線の方が早いだろ?」
その意外な言葉に日葵は啞然とした後、言葉を発した。
「本当に、昔から言葉が足りないですよ」
(だから完璧で意地悪だって思ってた……)
それは言葉にすることなく、日葵は小さくため息を付いた。
「私よりチーフの方が顔色が悪いです。知ってました? 私も免許持ってるって」
「え?」
壮一をジッと見据えた日葵に、壮一が驚いた表情をした後、クスリと笑い声をあげた。
「日葵のくせに生意気」
そう言うと、グチャグチャと日葵の髪を乱す。
「もう! やめて!」
日葵もそんな昔のような壮一に笑い声をあげた。
小さい頃のような笑顔の壮一を、日葵は盗み見る。
過去のことを謝ってくれた壮一。
引きずってきた過去を清算して、もう一度この人を、兄として家族として、そう思うことができる?
そんなことを日葵は思った。