I Still Love You

『昔に戻ろう』その言葉のままなら、この距離なんて普通のはずだ。
小さい頃は一緒に眠ったことだって何度とあるし、いつもこの距離で会話をしていた。

しかし……。

やっぱり今は違う!
日葵の中で感じた感情はそれ以外の何物でもなかった。
離れてた時間のせいか、再会してからの上司としての壮一をみたせいか、理由など考える余裕はなかったが、日葵の心臓は煩いぐらいにドキドキと音を立てる。

高校に入ってまったく話さなくなった冷たい壮一とも、小さい頃の優しい壮一でもない。

今ここにいるのは今の等身大の壮一だ。
そのことが日葵を混乱させる。
知らない人のように感じる壮一に、ザワザワとするこの感情が何か考えたくなかった。

「あっ、えっと」
そんな気持ちを悟られないように、日葵が話を続けようとしたのに壮一は目を逸らすことなく、日葵の瞳を覗き込んだ。


そのままどれほど見つめ合っていたのだろう。きっとほんの数秒だがとてつも長く感じる。

「日葵……」

呟くような声とともに、更に壮一の顔が近くなる。

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