I Still Love You
「長谷川!」
フロアに入ると一番に壮一の呼び声に、日葵はビクリと肩を揺らした。
週末のあの日以来、壮一とは顔を合わせてはいない。
どういうつもりで言ったのか聞きたかったが、どの答えを聞いても自分がグチャグチャになるだけのような気がして、何も聞くことはできなかった。
「すぐにこのSテックに連絡を入れてくれ。後、パーティーの人数も変更になっているみたいだから確認して手配してくれ」
資料を日葵の目を見ることなく壮一は渡すと、すぐに違う連絡を始めた。
今日は何か大切な打ち合わせがあるのだろう、いつもよりピシッと整えられた髪に、スリーピースの濃紺のスーツ。それを完璧に着こなし、片手にパソコン、もう片方にスマホで話をする壮一に、日葵は小さく返事をする。
何もかもあの日のことなどなかったようにいつも通りだ。