I Still Love You
「帰って」
そんな久しぶりの壮一の体温に、日葵の口からその言葉が零れ落ちる。

「日葵……」
「呼ばないで!」
(その声やめて!)

もう自分の感情がコントロールできず日葵は叫んでいた。

「わかった……」
触れていた壮一の手が、一瞬躊躇するように頬に触れた後、ゆっくりと離れていく。

すぐさま壮一に背を向けて、日葵はただギュッと自分の手を握りしめて壮一がいなくなるのを待った。

「俺は……」
何かを言いかけた壮一だったが、その後に続く言葉はなく日葵は複雑な気持ちが広がる。

(俺は何よ……今更何を言うのよ……私の事なんてどうでもいいくせに)

そんな荒んだ気持ちが日葵を侵食していく。
自分でも思っていた以上に、あの時の事を引きずり、許せない事に気づいた。

パタンと音を立てたドアに、壮一が帰ったことが分かり日葵はホッと息をついた。

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