I Still Love You

「調子はどう?大丈夫?」
柔らかな笑みをたたえた、村瀬に日葵はすぐに頭を下げた。

「昨日は申し訳ありませんでした」

「いや、こっちこそあの後打ち合わせが長引いて会えなかったから、仕事させて悪かったな」
ヘッドフォンを外して日葵の方に向いた村瀬に、日葵は首を横に振った。
「いえ、本当にご迷惑をおかけしました」

「今日も無理するなよ。これからもっと忙しくなるから」
その言葉に、日葵もカレンダーへと目を向ける。

「はい、でも、近日中にリリース日の日程も決めないといけないですし、イベントの手配とかも山住なので」
その言葉に、村瀬は申し訳なさそうに顔をゆがめた。
「悪い、そうだよな。小さな雑務から、プロモーションまで長谷川さんに頼りきりだよな……あっ、おい壮一!」

そこへフロアの更に奥にある、仮眠や打ち合わせができる部屋から出てきた壮一に村瀬は声を掛ける。
冷静を装うも、日葵の心が大きく音を立てた。
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