I Still Love You

「後は明日のスケジュール…」
自分のブースで事務仕事をしていた日葵は、小さく息を吐いた。

時計は22時を回っても、夕方から始まった打ち合わせは終わらないようだ。
ストーリはもちろん、キャラクターのデザインなど、細かな修正や打ち合わせは日葵が入ったところでなにもわからない。

小さいころから父がパソコンに向かうのが当たり前だった日葵だが、その才能は受け継がなかったと自分でも思っている。

理系よりは文系。
そんな自分が少しだけもどかしい時期もあった。

「長谷川!」
静かなフロアに響いた声に、日葵はそんな思考をシャットアウトすると、びくりと背筋を伸ばした。
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