I Still Love You
ほとんど誰もいない事にホッと息を吐くと、日葵は集中して仕事を始めた。
各所に謝罪をし、書類の変更などをとりあえず済ませたころには、真っ暗になっていた。
まだまだやることもあるし、大変なのは日葵ではなく日程を早めることを余儀なくされた技術者のひと達だ。
ギュッとツメが食い込むほど、手を握りしめていたことにも気づかず日葵は、みんなが集まっているだろうミーティングルームに視線を向けた。
そんな時、ガチャという音と共に扉が開いて、日葵はドキッとした。
「長谷川さん」
優しく声を掛けてきた村瀬に、日葵は申し訳ない気持ちから表情を曇らせる。
「どう?」
「なんとかこっちは……。本当に申し訳……」
そう答えるも、日葵はまた謝罪の言葉を述べようとしたところを遮られた。
「そうか、じゃあもう上がろうか」
「え?そんなわけには!」
慌てて答えた日葵に、村瀬は小さく息を吐いて笑顔を向ける。
「大丈夫だから。そんなに気にしないで」
「でも……」
俯いて言った日葵に、村瀬は畳みかけるように言葉を投げかける。