I Still Love You

「チーフ命令」
その言葉に日葵はグッと言葉を飲み込んだ。
あれだけ冷たい言い方をされて、早く帰れなどと言われると見捨てられたような気分になってしまう。

それも村瀬に言わせるなど、よっぽど自分の顔をみたくないのではないか。
そんな事が頭を過る。

「……わかりました。失礼します」
これ以上何かを言う事もできず、日葵は小さく言うと席を立ち頭を下げた。

「あっ、長谷川さん……あのさ……」
村瀬は思案するような表情を見せた後、小さくため息をつく。

「なんでもない。気をつけて帰って」
その言葉に、日葵はもう一度頭を下げて会社を後にした。
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