I Still Love You

「ごめんなさい……」
申し訳なさからその言葉しか出ない日葵は、壁にピタリと近づくと、呟くように謝罪の言葉を述べた。

「こっち」

「え?」
その言葉の意味が解らず日葵は聞き返す。

「長谷川外見て」
そう言われ、外を見ると壮一の手だけが見える。
少し躊躇するように聞こえた壮一の声に、日葵は勇気をだすとその方へと向かった。

すると覗き込むように見る、壮一の視線と交わる。
「チーフ、本当にご迷惑をおかけして……」
「あーあ」
日葵が言い終わらないうちに、かぶされるように言われた言葉の意味は解らなかったが、なぜか壮一が泣きそうに見えて、日葵はただジッと壮一のきれいな瞳に映る自分を見ていた。
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