I Still Love You
日葵はどうしても一人で帰る気にならず、スマホを手にする。
呼び出したのは同僚の佐奈。

ひとり、会社から一駅離れた落ち着いた店を指定して先に待っていた。
チビチビと普段、あまり飲まないビールに口をつけては、ため息それの繰り返しだった。

「日葵。お疲れ」
不意に聞こえた声に、自分が俯いていたことに気づいて顔を上げる。

「ごめん。ありがとう」
小さく微笑んだ日葵に、佐奈は苦笑した。
「なに?疲れすぎじゃない?それとも何かあった?」

適当に料理と飲み物を追加すると、日葵は大きなため息をまたつく。

「日葵。ため息つきすぎ。理由は仕事?それとも?」
何かを感づいているのか、佐奈にジッと見つめられて日葵は言葉を選ぶ。

「仕事で大きなミスして落ち込んでる」
そう言うと、佐奈は「そうか」と軽く相槌を打った。

「それと?」
「え?」
佐奈の言葉に、日葵は意外そうに佐奈をみた。
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