I Still Love You

「あの今社内で一番狙われている清水チーフ」
「そうなの?入社したばかりじゃない」
さすがの壮一に、日葵はあきれたように声を上げた。
「女は目ざといのは日葵だって知ってるでしょ?それで……どこに落ち込む理由につながるの?」
もっともな佐奈の疑問に、日葵はギュッと唇をかむ。

「それなの。そこなのよね……」
「え?」
考え込んだ日葵に、佐奈は訳の分からない言葉を発した。

「日葵、きちんと説明しなさいよ」
上から聞こえた声に、日葵は驚いて目を見開いた。

「鞠子先輩……」
「あれ?斎藤先生」
突然現れた鞠子に佐奈も驚いたように声を上げた。

「たまたま飲みに来たら、二人が見えたから」
ニコリといかにも女医という雰囲気の鞠子は、妖艶な笑みを浮かべる。

「日葵、話したいならきちんと説明しなきゃ」
鞠子の言葉に日葵は言葉に詰まる。
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