I Still Love You
「つまりね、日葵は淡い恋心を清水チーフに持っていたのに、清水チーフは日葵に何も言わずにアメリカにいってしまった。ずっとずっと一緒にいたのに」
代わりに簡潔に説明した鞠子の言葉が日葵の心の中に突き刺さる。
(やはり壮一は私を捨てた)
「でも、どうして清水チーフは何も言わなかったんですかね?なにも言えなかったてこと?」
黙って聞いていた佐奈だったが、少し考えた後、日葵が考えたことがなかったことを言った。
(言えなかった?)
「そうかもしれないわね」
どうした鞠子の言葉に、日葵は「どうして?」が駆け巡る。
「それで、清水チーフに迷惑を掛けたことが日葵は引っかかってるの?それに、やっぱりまだチーフのことが気になるから、誰の誘いも乗らなかったってこと?」
一人納得した佐奈の言葉に、日葵は声を上げる。
「違う!そんな事は絶対ない!私はもうそうなんて、壮一なんて……」
ついむきになって言ってしまい、日葵は言葉を止めた。
「日葵……」
「どうして私をこんなに振り回すのよ……。大嫌いなのに……」
酔いも手伝って呟くように言った日葵を二人はただ見ていた。