I Still Love You
千鳥足でふわふわとしながら、タクシーを降りてエレベータに乗り込む。

「遅かったな」

「え?」
誰もいないと思って乗ったエレベータから聞こえた声に、驚いて日葵は目を丸くする。

「チーフ……」
地下駐車場から乗ってきたのであろう、壮一に日葵は言葉に詰まる。

「気分転換できたか?」

「あ……はい。先に帰ってすみません」

「別に仕事もないのに残ることないだろ?」
その辛辣な言葉に、日葵は言葉を失った。

「あっ、悪い。そう言う意味じゃない」
日葵の顔色が変わったのに気づいたのか、壮一は小さくため息を付く。

「どういう意味ですか?」
もう半ばヤケになり、日葵は顔を上げると壮一をみた。
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