I Still Love You

「無理をさせたくないだけだ」
いきなり言われた言葉に、柚希ちゃんをじゃないの？と素直じゃない思いが溢れる。

「誰をですか？かわいい柚希ちゃん？」

「はあ？」
苛立ちを含んだその言葉と同時に、エレベータは二人の階へと着き、音もなく扉が開いた。

「ほら降りろ」

酔っているからだろうか、感情がコントロールできず日葵は壮一の言葉を無視するように、エレベータの中で足を止めていた。

「命令しないでください。チーフがお先にどうぞ」

「おい！」
明らかに怒りにみちたその声に、涙が目に浮かぶ。

（壮一のバカ……）
なぜバカなのか、なぜイラつくのか、そんな理由などわからないが、ただ日葵は壮一に反抗するようにジッと睨みつける。

そんな日葵に壮一は諦めたように、自分が先にエレベーターを降りた。

「ほら降りろよ」
エレベータの外から聞こえた声に、日葵はこのまま一緒にいたくなくて、ドアを閉まるのを待った。

「おい！何をやってるだよ！」
そんな日葵に近づくと、グッと日葵の腕を弾くとエレベーターから降ろす。