I Still Love You
「お前どれだけ飲んだんだよ?」
「関係ないでしょ」
呟くように言った壮一の声に、日葵は小さく呟く。
「関係ないな」
2度目のその言葉に、日葵はイライラが募り、壮一の手を振り払った。
「そうよ、楽しいお酒だったの。いいでしょ?」
仕事で疲れている壮一になんてことを言ってるのだろう?
そうも思うも、日葵の口から出るのは素直になれないこんな言葉ばかり。
自分の気持ちがわからず、日葵の瞳からはポロポロと涙が零れ落ちる。
「ひま……」
零れ落ちた自分の名前。
どうしてこのタイミングで名前を呼ぶのよ。そんな事が頭を過ったところで、フワリと温かい腕に囲われる。
抱きしめられていることに気づき、日葵は壮一の腕の中で固まった。
「お前がどう思っていても関係ない。俺は俺だから」
「なによ。それ……」
昔の苦くて苦しい思い、でも昔と同じ腕の温かさ。
日葵の心はどんどん乱れて行く。
昔よりずっとたくましく、大きくなった腕の中はすっぽり包まれるような気がして、心の中が少しだけ温かくなる。
「ごめんなさい……。疲れてるのに」
小さく呟いた日葵に、壮一は少しだけ笑ったような気がした。