I Still Love You

そんな憂鬱な気分のまま一日を終えた所で、教室が騒めいた気がして、カバンに教科書を詰めていた日葵はその手を止めた。


「日葵！」
突如、廊下から聞こえた声に、その理由が分かり日葵は小さくため息をついた。

「なによ……」
小さく呟いて、聞こえなかったふりをして用意をしていた日葵は、すぐそばで聞こえる悲鳴に諦めたように、すぐ側まで来ていた壮一を見た。

「なに？こんな一年の教室まで」

「お前今日のこと忘れてるのかよ？」
呆れたように壮一に言われ、日葵は考えを巡らせた。

「あ。香織ママの誕生日……」
思い出して日葵は慌てて壮一の顔を見た。

壮一に苛立ちすぎて大切な事を忘れていたことに、日葵は罪悪感でいっぱいになった。

「そうだよ。おふくろの誕生日パーティーにお前と買い物して来いって親父達に頼まれてるって言ったよな？」

「はい……」