I Still Love You
なんとなく感傷的な気分になってしまった日葵は、その思いをふりきるように「おやすみ」だけを言うと、家へとむかった。

もう一度振り返りたい気持ちもあったが、壮一が何事もなかったように背を向けるのを見たくなくて、日葵は振り返ることなく家へと入る。

どういう気持ちで壮一が抱きしめたのかも、昔の延長だと日葵はむりやりそう思い込むと、今あったことを忘れようと努力した。

信じていても裏切られる。
それは日葵自身が身をもって体験したことだ。
壮一はそういう人だ。そう思う事で自分の心を守らなければならない。

(これ以上振り回されるわけにはいかない)

そう思うと、日葵は小さくため息を付くとスマホを開く。

崎本からのメッセージに目を向ける。
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