I Still Love You
忘れるための方法
日曜日、崎本と昼に待ち合わせをしていた日葵は、朝早く目覚めてしまい、ため息交じりにベッドから降りた。
壮一がいなくなったあの日から、ことごとく男の人を寄せ付けてこなかった日葵にとって、男の人と二人でどこかへ行くことは、やはり気が重かった。
そんなことに慣れてもいないし、何を話すべきかもわからない。
そんなことを思いながらも、日葵はいつも通り化粧をして、仕事のときよりは少しだけ明るい色の服を選ぶと、鏡に映る自分をみた。
男の人とどこかへ行った記憶と言えば、壮一以外ない。
その事実に気づき、自分でも少し自嘲気味な笑みが零れる。
(私何をしてたんだろう)
別に壮一に義理立てする必要などもちろん無かったのに、結果だれとも付き合うことなく男嫌いのようになったのはまぎれもなく壮一のせいだ。
日葵はそんなことを思いつつも、まだ待ち合わせまで時間があるが出かけることにした。
今日は壮一にあわなかったことに安堵して、待ち合わせの駅へとゆっくりと歩く。
梅雨ももうじき終わり、本格的にやって来るだろう夏を前に、少しだけ暑くて、日葵は長袖のカーディガンの袖をまくった。