I Still Love You
「長谷川」
不意に聞こえた声に、日葵は振り返った。

そこにはラフな格好をした崎本がいて、日葵は驚いて目を見開いた。

「部長……早くないですか?」

「それを言うなら長谷川もだろ?」
確かにその通りだ。崎本が早いのなら、日葵も早いに決まっていた。
お互いどちらからともなく笑いが漏れる。

「ようやく長谷川が出かけることを了承してくれたと思ったら嬉しくて」
サラリとその言葉を言う崎本は、大人で恋愛経験も豊富なのだろう。
私服の崎本は、実年齢よりも若く見え、壮一とは違った魅力をもっている。
優しそうで誠実そう。そんな印象を持つ人が多いだろう。

そんなことを思いいながら、日葵は正直に崎本に話すことにした。
< 93 / 229 >

この作品をシェア

pagetop