I Still Love You

「部長と違って私は、あまりこういう経験がないので……どうしていいかわからなくて」
最後の方がこんなことを告白している自分が恥ずかしくて、日葵の声は小声になる。

「え?長谷川が?」
意外そうな崎本の言葉に、日葵は小さくため息を付いた。
「どういう意味ですか?」

「ごめん。それだけ可愛いし、モテてるし意外だった。悪い意味じゃない」
そう言うと崎本は優しく微笑む。

「長谷川は何もしなくていい。今日は俺に付き合って?」
その優しさに日葵はホッとすると小さく頷いた。

「映画と、買い物だったらどっち?」
崎本は付き合ってと言った割に、日葵が迷わないように選択肢を与えつつ、日葵のしたいことをしてくれているようだった。

昔の壮一のように、強引にいつも引っ張られていた日葵としては、とても新鮮で、ゆったりとした気持ちでいることが出来た。

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