I Still Love You

手に二つのカップを持った崎本に、日葵は小さく頷くとそれを受け取った。

「部長、ありがとうございます」

そんな日葵の言葉に、崎本は柔らかい微笑みを浮かべると、日葵の横へと腰を下ろす。

「何を考えてた？」

「え？」
いきなり言われた質問の意味が解らず、日葵は隣の崎本をみた。

「とくには何も……。久々だなって。こんなゆっくりとした時間って」

日葵のその答えに、崎本はホッとしたような表情を浮かべた。

「向こうから戻って来る時、あまりにも長谷川の横顔が遠くを見てる気がして、なぜか知らない人みたいに見えた」
そこまでいった崎本は、めずらしく苦笑すると「何をいってんだよ俺」と海に視線を向けた。

「部長……」
最近いろいろありすぎて、現実逃避していたのかもしれない、そんな心情がでていたのだろうか？