スイート ジャッジメント【番外編、別視点公開しました】
なんでよりによって若菜なんだろう。 どうして毎日一緒に居る若菜が、武田と付き合っちゃったんだろう。
他の人だったら、きっとこんなに辛くないのに……。
私は溜め息と一緒に目を伏せた。
目を開けると、視界は滲んでボヤけていた。
私、なんで若菜に私も武田が好きなんだよって言えなかったんだろう。半年も前に聞いたんだから、いくらでも言う機会はあったのに。
手の甲で目を擦っていると、階段の上から男の人の声がした。
「そんなに好きだったの?」
顔を上げて、息を呑んだ。
階段の手すりに寄りかかっていた背の高いその人は、ゆっくり階段を降りて来て、私の前で足を止めた。
話したことは無いけど、知っている……というか、入学当初から学校では有名な人だ。
サッカー部の、桜庭くん。
「武田のこと、泣くほど好きだった?」
何故言い当てられたのか分からなくて、私はただ桜庭くんを見あげた。背、凄く高い。クラスで2番目に背の小さい私は、大抵の男子を見上げるけれど、目の前の桜庭くんはかなり背が高い。
「別に、そんなんじゃない。泣いても、いないし」
私は精一杯強がった返事を返す。