スイート ジャッジメント【番外編、別視点公開しました】
桜庭くんはあんなに優しくしてくれたのに。ずっと私を守ろうとしてくれていたのに。全て自分が悪いと……私は何も悪くないと、何度も何度も私に言い続けてくれたのに。
私は、桜庭くんに寄り添ってあげることが……出来なかった。
私なんかよりも、桜庭くんはずっとずっと辛かったはずなのに。
私の好きな人は、素直で優しい人だって知ってたのに。私のことをずっと守ろうとしてくれていた桜庭くんが責任を感じていないはずがないのに。
微かに外からの明かりがカーテンの下から漏れてくるだけの暗い部屋の中、通話の切れたスマホの画面には、桜庭くんとのメッセージの履歴が煌々と表示されていた。
『着いたよ』
昨日の朝のことだなんて信じられない。
手を繋いで学校に行ったのに。ずっと傍に居てくれたのに。抱き締めてくれたのに。あの時、私は……家に帰る前に桜庭くんにもう一度抱き締めて貰いたくて……書道室に行ったのに。
桜庭くんのせいじゃない。私は桜庭くんに会いたい。
桜庭くんに言えなかった言葉は、時間が経てば経つほどに膨れ上がる罪悪感に、押しのけられて、暗い淵の奥底へと沈んで行った。