スイート ジャッジメント【番外編、別視点公開しました】
「年明けてすぐ位、とわがぶっ壊れたみたいに泣いた日、あったでしょ? その次の日に、体育の時に涼しい顔でボール取ってって言うから。腹たってたから思いっきり顔に投げつけてやったんだよね」
「ちゃんとキャッチしたけどね?」
「おかげで桜庭シンパ マジ怖くて。修学旅行の部屋とか戦々恐々だったんですけど。洗面台カーストとか最下位だったよ」
はぁ、とため息をついた後、羽純は私を見て安心したように笑う。
「よかったぁ、仲直りできて。桜庭くんが休み時間にとわと一緒に居たってクラスの子騒いでたから、ダッシュで来たんだよ。じゃ、今日塾だからこれで帰るね」
お騒がせしましたー、と書道室を出ていった羽純を、私は慌てて追いかけた。
「はずみん」
階段を降りかけていた羽純が振り返る。
「ありがとう」
羽純はニッと笑って手を振って、階段を駆け下りて行った。
「いい子だよね、あの子」
「うん」
「彼氏いんの?」
……え? と湊を見てしまう。
「……いないって、聞いてるけど……」