スイート ジャッジメント【番外編、別視点公開しました】

 木に囲まれた石段を何とか登り切ると、眼前には青い海と、気持ちいい程に快晴の夏空が広がっていた。

「わぁ……すごい眺め」

「海、好きだったんだよ。兄貴。サーフィン始めたばっかだったし」

「そうだったんだ……」

 今日は満さんの命日で、湊とお墓参りに来て、今ようやく、境内へ続く長い石段を登り終えた。

 今日が命日だなんて、つい1時間半ほど前に会うまで聞かされていなかった。塾の後デートしようとだけ言われて会ったので、私はまったくお墓参りだなんて思っていない服装で、しかもサンダルだった。

 湊本人も、普段通りのデニムとTシャツで来たから、まさかお墓参りに行くなんて思わなかったのに。あんな石段登らせるなら、先に一言欲しかった。そしたらサンダルなんて履いてこなかったのに……。

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