スイート ジャッジメント【番外編、別視点公開しました】
「もう兄貴死んで4年だよ? 何してたんだろ……俺」
「湊。湊は……湊も東海林先輩も、みんな友香さんを守りたかったんでしょ?」
「……そんなんじゃないよ。友香の事もっとちゃんと見てたら気づけたんだ。皆で目を逸らして、誤魔化しただけだよ。
俺らは、友香と一緒に兄貴が死んだことを、悲しんであげなきゃいけなかったんだ」
正論のそれは残酷な事のように思えて、頷けなかった。もしも同じ状況になったら……、きっと私も、事実を伝えられない。
ため息をついて湊は満さんのお墓に手を合わせたので、私もそれに倣う。
「兄貴。俺はもう、友香とは居られないから。守りたかったら兄貴が自分で何とかしてよね。俺は……とわ 守るから」
最後の一言に顔を上げると、湊は目を伏せて満さんのお墓に手を合わせていた。
そして、まっすぐ顔を上げて息をついてから、私の頭をぽんぽんと撫でて笑う。それは、清々しくも、少し寂しそうにも、肩の荷が降りてほっとしたようにも、色んな気持ちが混ざりあっているそんな笑顔だった。
「いこっか」
「……うん」
石段を降りる前に、また2人で海を眺めた。