スイート ジャッジメント【番外編、別視点公開しました】
「綺麗だね」
「だね。……つーか、ここまで来るなら水着でも持ってくりゃ良かったな」
……え? 水着? と湊を見る。
「てか、とわってさ、普通に海に遊びに行くような水着持ってんの?」
「え……えーと……」
水着なんて、そんなのもちろん学校の体育で使う紺色の地味なのしか持っていない。
「持ってないね? じゃ、今から水着買いに行こう。 で、そのまま海直行」
「ええ?! でも、私 海そんなに来ないし」
「俺、海好きだよ。それに、少なくとも毎年1回は来るでしょ。来年も、再来年も、ここにさ」
来年も再来年も”ここに”という言葉の纏う重さに、私は口を噤んだけれど、湊は楽しそうに笑う。
「とわに何着せよっかなぁ~? 俺、ビキニ着て欲しいけど」
「えぇ……」
湊は鼻歌交じりに石段を降り始めた。
「ねぇ、湊 待ってよ」
振り返った湊は、数段下から私をまじまじと見上げて軽く首を傾げた。
「んー、とわ あんまり胸ない?」
「どこみてるの!!」
無いけど。胸なんてさしてないけど。
「まあいいや。もうすぐ見れるし。とわのビキニ」
「なんでビキニ決定なの」
「俺が選ぶから」
「え、 湊が選ぶの? 」
「当たり前じゃん。俺が選ぶし、俺が居ない時着ちゃダメ」
しれっと言い放って湊は笑う。湊の言葉を、湊が喜ぶならそれでもいいかな? と甘受してしまいそうな自分がいるのは……否定しない。