スイート ジャッジメント【番外編、別視点公開しました】

「あとこんなんも」

 続いて再生されたのは、可愛い動物赤ちゃん100連発……。可愛い。すっごく可愛い。だけど、グループトークの履歴に並ぶ、可愛さに悶えるコメントの数々はサッカー部のイメージからはかけ離れていた。

「とわ ペンギンみたいだよね」

「……どこが?」

「これ 着てるシルエットとか」

 これ と桜庭くんは私の割烹着の裾を摘む。

「ええぇ」

「なんで嫌そうなの。ペンギン嫌い?」

「嫌いじゃないけど……。鳥ってよく見ると目が怖いから」

 もっと近くでよく見ても可愛いのがいい。と言う私を、桜庭くんは喉を鳴らして笑う。

「だって皇帝ペンギンとか私のこの辺まであるんだよ?」

 私は自分の肩よりも少し上の辺りを示す。たしか、皇帝ペンギンはその位の大きさになったはずだ。絶対可愛くない。それなのに。桜庭くんは、なおも肩を震わせて笑う。

「それは、とわが小さいからペンギンが相対的にでかく見えるだけで……。せいぜい俺の鳩尾くらいのモンでしょ?」

「十分大きいでしょ? 鳥だよ?」

「赤ちゃんのうちは可愛いよ。とわも可愛いし」

 私の機嫌を取るように言って、桜庭くんは私の頭に頬をすり寄せる。

< 69 / 206 >

この作品をシェア

pagetop