スイート ジャッジメント【番外編、別視点公開しました】

 そのまま、動物の動画を再生しながら夏休みの事をお互いに話していると、画面の上に、メッセージのポップアップが飛び出してきた。

『まだ帰ってこないの?』

『昨日会えなかったから、今日は会いたい』

 差出人の名は、友香。 あぁ……あの人の名前、こういう漢字で書くんだ。と、どこか冷めた気持ちで見る私がいた。

『一昨日の続きも気になるから、部屋で待ってるね』

 桜庭くんは、立て続けに届いたそのメッセージを黙って消した。

「帰らなきゃね」

 私が立ち上がろうとしたら、桜庭くんの手で阻まれた。

「平気だよ。昔からずっとこんな感じだから」

「……」

「とわ」

「帰ろうよ。私、そろそろ帰らなきゃ」

 私は、週末に洗ってきたばかりの割烹着を紙袋に入れて持って帰った。

 今日、桜庭くんが容赦なく漂わせる甘い空気に流されて、桜庭くんと手を繋いでしまわないように。

 私は、その紙袋で手を塞いだ。

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