スイート ジャッジメント【番外編、別視点公開しました】

 私だって幼馴染み位いる。裏の家の二つ上の美香ちゃんも、美香ちゃんのお兄ちゃんの聡史くんも、斜め向かいの一つ下の保くんも、一般的に幼馴染みの括りに入れていいと思う。

 昔は一緒に小学校に行って、一緒に遊んでたけれど、皆今は別々の学校に通ってて、美香ちゃんと聡史くんは大学で、保くんは高校まで自転車で……。会えば時々話はするけれど、幼馴染みだからって、そんなに一緒にいる訳じゃない。

 美香ちゃんにだって普段抱きついたりしないけど、男の子の保くんと聡史くんには絶対抱きついたり……しないよ。二人とも私が抱きついたりしたら嫌がりそうだし。

 どこまでが普通で、”ただの”幼馴染みなのかな。

 電車を2本見送って、座っていると傍らから声をかけられた。

「瀬川?」

「……武田」

「大丈夫? 具合悪かったりする?」

「大……丈夫。ちょっと目眩しただけだから。次のには乗れそう」

 私は立ち上がると、武田と一緒にホームに並んだ。そういえば、夏休み前に話して以来、ちゃんと武田と話してなかった。時間を置いたからか、自然に話せるようになっていて、少しだけ安心した。

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