スイート ジャッジメント【番外編、別視点公開しました】
「遠藤から聞いた?」
「なにを?」
「さすがにまだか。そのうち遠藤も話すだろうけど、俺ら別れたから」
「え? いつ?」
昨日話した時は、距離を置いているとだけ聞いていた。
「昨日。相談して別れたから、後腐れなく友達に戻るよ」
「なんで?」
「なんで……そーだなぁ。お互いに付き合うより大事なものがあった……ってトコかな」
“お互いに” と言われて、私は、どれだけ自分が若菜を避けていたのか気付かされた。おなじクラスで、毎日一緒には居たけれど……きっと、なにも話してなかったんだ。
若菜とちゃんと話さなきゃ……。
若菜と好きな人の事を話すと、武田の話になってしまうのは必須だから、桜庭くんとの事も、若菜にほとんど話していなかった。
「それより。瀬川さ、桜庭と付き合ってんの?」
「……付き合ってないよ」
付き合っていない。付き合っていないけど、付き合っていないって言うと少しモヤッとする距離感だ。
夏休み前には、好きって言われて、キスだってして。夏休み中は毎日連絡をとって、一昨日は……桜庭くんに抱っこしてもらってるみたいに、ずっとくっついて話していた。
でも、付き合っていない。
私との関係は……ただの友達?
それは、ただの幼馴染みの友香さんと……どのくらい違うの?