スイート ジャッジメント【番外編、別視点公開しました】
「なら良かった。なんかまた来てたからさ」
「え?」
「土曜日、だったかな。練習試合に、またあの女来てたから。試合前からベタベタしてて茅ヶ崎がブチ切れて追い出してた」
……羽純の“大丈夫?”はこの事なのだと、察しが着いた。
羽純は、きっとクラスの女の子たちが話してたのを聞いて、心配になったから私に連絡をくれたんだ。
「そう、なんだ。大丈夫だよ。私、付き合ってるわけじゃ……ないし」
付き合っているわけじゃない。
2度目に口にしたら、さっき以上に、何かが胸に突き刺さった。
ホームに滑り込んできた電車に乗り込むと、人の波に紛れて電車に乗り込まされる。
いつも、混んでいるのが嫌で早目に出ていたのに3本も遅くしたから、電車に乗る人の人数はいつもの比でなくて、スーツの背中に押しつぶされそうになった私の肩を、大きな手が支えてくれた。
「瀬川、小さいから潰されそう」
実際、背が高い人の視界に入らないらしく、たまに潰される。
「もう少し早い電車だと、こんなに混んでないから平気なんだけど……」
「あんまり朝会わないの、瀬川が早いからか。コケそうだったら俺に掴まっていいよ」