スイート ジャッジメント【番外編、別視点公開しました】
「1年の奴が、スマホ無くしたって。誰か荷物に紛れてませんかーって」
桜庭くんが荷物を確認している最中、桜庭くんのスマホの画面が点灯する。音はならない、ただ大きな画面が点灯しただけ。
着信。名前は…………『友香』
桜庭くんは一瞬視線をスマホに向けて着信を確認したけれど、電話は取らない。
「桜庭くん」
「ん?」
「出て、いいよ?」
「出ないよ」
桜庭くんはそのまま、拒否のアイコンをタップして、部活のグループを開く。恐らく、自分の所には無い事を報告したのだろう。
「桜庭くん」
「なに?」
「……今日も、来たの?」
「誰が?」
「……友香さん」
「来てないよ」
「……先週は……来てたって」
桜庭くんは、一瞬止まって私を見る。
「誰から聞いたの?」
「…………武田」
私の答えに、桜庭くんは凄く嫌そうに眉を顰めて「くっそ、武田の奴」と毒ついて、嘆息混じりに切り出した。
「勝手に来たんだよ。千紗が練習試合なら見に行ってもいいんじゃないかとか、言ったみたいで。俺が呼んだわけじゃない」
「……でも、前みたいに……ぎゅうってしたでしょ」
武田に『朝からベタベタしてた』とか言われていたんだから、多分そうなんだろうと勝手に思っていた。
「してないよ。てか、前もしてない」
「してたよ」
「してない。すぐ引き剥がしたよ。ねぇ、とわ……」