スイート ジャッジメント【番外編、別視点公開しました】

「私、桜庭くんみたいに割り切れない」

 私は桜庭くんの言葉を遮った。

「私……桜庭くんと友香さんの関係……わかんないよ。先週も帰ったら会ったんでしょ……? 私の事、ぎゅうってしてくれた後に……家に帰って……会ったんでしょ?」

 友香さんのことも……家でぎゅうってするの?

 言いながら、悲しくて堪らなくなる。まるで……浮気しているみたい。誰かのところに帰る人を、好きみたい。こんなの自分に刺さってくる両刃の剣だ。

 桜庭くんに言われる、可愛いも、好きも、凄く嬉しい。

 だけど、桜庭くんに嬉しそうに抱き着く友香さんの笑顔も、東海林先輩に言われた”他人の男”という言葉も、私の胸にずっと突き刺さっていて。

 桜庭くんの言葉を、両手放しでは喜べない。

「会ってない。俺、今ばあちゃんち居るから、本当に会ってないよ。夏休み明け頃から、時々しか家に帰ってない。とわ、そんな顔しないでよ……こんなとこじゃ抱きしめてあげれない」

 桜庭くんは、困ったように私の頭を撫でた後に、ため息をついて、私の方を見ずに「ねぇ、とわ」と口を開いた。

「ちょっと遠出、付き合ってくれない?」

 窓越しに見る桜庭くんの疲れた表情は、昨夜のメッセージの印象に、重なった。


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