スイート ジャッジメント【番外編、別視点公開しました】
***
翌日、私はいつもより少し長めに書道室に居た。
どうしよう、若菜にあんな約束したけれど……やりたくないな……。
グラウンドを見ると、サッカー部が練習を終えて片付けを始めているのが見えた。
戻らなきゃ。
憂鬱な気分で階段を降りて教室に向かうと、少し緊張した面持ちの若菜が待っていた。
「頼んだものの緊張するよ。やっぱり今日はやめようかな」
ため息混じりにいう若菜に、私の気持ちは少し上がる。
そうだよ、告らなくていいよ。
そう思いながら、私と若菜は学校を出た。
生憎、もうサッカー部の姿はグラウンドにもなく、私は若菜は「もう帰っちゃったかな?」と話しながら駅に向かって歩を進めた。
駅の近くのファミレス前を通り掛かった頃「瀬川?」と私たちを追い越した人が私呼んだ。
「武田、お疲れ様」
「お疲れ。てか、今からちょっと走ったら電車間に合うから俺、走るけど」
言外に続く「お前はどうする?」に、私は若菜に心の中で謝った。
どうせ走るなら、今日は若菜が告る暇はないに違いない。
「ほんと? じゃあ走る」
「え、とわ。待って」