クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「あの、ジーク様は元軍医様だったと伺ったのですが……」
「え?」
アンナの意外な質問にジークがしばし沈黙する。
(もしかして私、失礼なことを言ってしまった?)
すぐに返事が返ってこないことに不安になっていると、ジークがゆっくり口を開いた。
「私はこの世に生を受けたときから国王になることが決まっていた。しかし、親族には命を狙われ、父上のようにただ王座に座って退屈な日々を送る未来に絶望していたとき、私に医学の道へ導いてくれた人がいた」
――それらの書物は私の今は亡き恩師から受け継いだものだ。大切に扱えよ。
先ほどの言葉を思い出し、アンナはハッと気がついた。
「ひょっとして、先ほどジーク様が言っていた恩師というのが……」
「ああ、そうだ。彼はランドルシア王国では有名な医師だった。貧しい民にも無償で治療する物好きな一面もあったが、私はそんな彼を尊敬していた。医学を志すようになったのは……その人の影響だな。気がつけばランドルシア軍の軍医にまでなっていた。国王に即位する前の話だがな」
「え?」
アンナの意外な質問にジークがしばし沈黙する。
(もしかして私、失礼なことを言ってしまった?)
すぐに返事が返ってこないことに不安になっていると、ジークがゆっくり口を開いた。
「私はこの世に生を受けたときから国王になることが決まっていた。しかし、親族には命を狙われ、父上のようにただ王座に座って退屈な日々を送る未来に絶望していたとき、私に医学の道へ導いてくれた人がいた」
――それらの書物は私の今は亡き恩師から受け継いだものだ。大切に扱えよ。
先ほどの言葉を思い出し、アンナはハッと気がついた。
「ひょっとして、先ほどジーク様が言っていた恩師というのが……」
「ああ、そうだ。彼はランドルシア王国では有名な医師だった。貧しい民にも無償で治療する物好きな一面もあったが、私はそんな彼を尊敬していた。医学を志すようになったのは……その人の影響だな。気がつけばランドルシア軍の軍医にまでなっていた。国王に即位する前の話だがな」