クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
ある日、アンナはいつものように寝ている少年の傍らへ足音を立てずにそうっと近づくと、その寝顔を覗き込んだ。少年は雄々しいというよりも美しく整った中性的な顔立ちをしていて、子どもだったアンナはいつも侍女が読み聞かせてくれる絵本から出てきた天使なんだとそう信じていた。

――毎日花を取り換えてくれていたのか?

まじまじと顔を見つめていたアンナだったが、いきなり少年がパチッと目を開けて笑った。

――ひゃっ!

あまりの驚きにアンナはひっくり返りそうになり、妙な声をあげると言葉を交わすことなく部屋を飛び出した。
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