クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
(そうだわ、私……)

「あ、あれは! 自分で薬が飲めない状況で――」

「実は口移しなどではなかった、と言ったら?」

どういうことか、と目が点になっていると、ジークがたまらず噴き出した。

「お前をからかうのもほどほどにしないとな」

「も、もう……ジーク様、冗談が過ぎます!」

つい雰囲気に流されそうになってしまったが、アンナは我に返りパッと身体を離して頬を膨らませた。

「そうむくれるな。だが、ひとつだけ許しをくれないか?」

「許し……?」

「お前を愛でて、愛でて……愛でたおす許しだ」

(私を……愛でる?)

そう口にしたつもりだったが、言葉にならなかった。真摯なジークの目がまっすぐアンナを見据えている。それは嘘でも冗談でもないと、そう訴えかけていた――。

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