クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
ベアトリクス・ヴェルザス。

彼女は王位継承権を剥奪された元王族、ランドルシア前国王の第二王妃であった。現在の身分は罪人である。長い間、太陽の光りを浴びていない肌は生白く以前は美しい艶のあった髪も、今は白髪まじりだ。

まだ三十代後半の年でありながら、彼女の顔に落とす影が老いを助長させていた。そして、ベアトリクスは第二王太子、レオン・エル・ヴェルザスの実の母親でもある。

「あら、私が外に出られないのを知っていてそんなことを言うなんて……意地悪ね」

自分で天気のことを聞いておきながら理不尽なことを言われ、ソフィアは口を結んで頭を下げる。

「ふふ、冗談よ。こんなくだらない冗談でも言わないとここは退屈だわ」

羽のついた扇をパタパタと扇いでいる姿がお決まりだったベアトリクスだったが、今はもうそんな優雅な生活とはかけ離れている。ベアトリクスは自分の息子を時期国王にするため、第一王妃殺害し、さらに第一王位継承者であったジークにまで手をかけるという重罪中の重罪を犯したのだ。
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