クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「ふふ。ソフィアは相も変わらず真面目ね。ジークに会ったら、いつまで私をここへ閉じ込めておくつもり?と伝えて頂戴。まったく、本当に疎ましくて嫌な男……今でも憎くてたまらないわ、レオンの方がずっと優れているというのに……誰もわかってくれないのよ」

ぶつぶつと言いながらベアトリクスは一点を見つめ、爪をカリカリと噛み始めた。

「前国王が崩御されてもなお、この私に忠誠を誓い従うことを望んでいる者はいるわ。あなたもそう思わない?」

「ベアトリクス様……」

「ジークに政権を任せておくわけにはいかない、いかないのよ! だから早く! 私をここから出して頂戴!」

いきなり声を荒げ、鉄格子をガシッと掴んで前後に激しく揺さぶる。その目は血走り、自分を投獄したジークに対しての怒りの炎がちらついていた。時折、ベアトリクスはこうして我を失う。ひどいときには癇癪をおこし、食事の入ったままの器を投げつけたりすることもある。
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