クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「ベアトリクス様! 落ち着いてください。あまり興奮されますとお体に触ります」

ベアトリクスがこの独房へ入れられてすでに十年近い年月が経っている。閉鎖的な空間は彼女の精神を徐々に侵していった。死刑になどせず、独房で己の罪と向き合い見つめ直すことが唯一の償いだと、ジークはベアトリクスに幽閉の刑を言い渡した。実の母を殺され、自分も命の危険に晒されたのだから。

「ねぇ、ソフィア。そういえば……バンクラールの娘が城にいるという話を聞いたわ。この間、ここへ来た侍女がそう言ってたのよ」

ベアトリクスは再び気を取り直し、そう言いながら何事もなかったかのように乱れた髪の毛を整えてにこりと笑った。いきなり怒ったり笑ったり、情緒不安定なのはいつものことだ。

(侍女が? 余計なことを……)

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