クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「あっ! いっけね、そういえばこの前、少ないから全部使っちまえと思って……」

あっはは、と頭を掻きながらウィルが笑っていると、ふるふると拳を握りしめたマーヤの怒号が飛んだ。

「あんたっ! 全部使っちまったらなんでジーク様のところへ行ってもらって来ないんだい! こういう肝心なときに使えないなら意味ないじゃないか! はぁぁ、本当に気が利かない人だね」

「す、すまねぇ……」

面目なさそうにしているウィルを見ていると、なんだかこっちまで申し訳ない気になってきた。

「この軟膏ってジーク様のところへ行けばもらえるんですね? それなら、私、自分でもらいに行ってきます」

「そうかい? アンナ、もう今夜は仕事あがっていいから、休んでおくれ」

「え、でも……」

これから配膳の準備をしたりして忙しくなるというのに、アンナが戸惑っているとマーヤがにこりと笑った。

「大丈夫だよ。あんまり無理すると明日に響くだろう?」

「はい。ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えて……」
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