クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
仕事中に余計なことを考えて失敗してしまい、自分が悪いというのに返って気を遣わせてしまった。申し訳ないと思いつつも火傷が痛くて仕事も手につかなさそうだ。

(ここはマーヤさんに言われた通り、ジーク様に軟膏をもらって休ませてもらおう。はぁ、まったくドジね)

とぼとぼと調理場を後にし、廊下を歩きながらふと窓の外を見ると今夜も綺麗な三日月が夜空に浮かんでいた。

(ジーク様、お部屋にいらっしゃるのかしら? あ、そういえば私、ジーク様のお部屋がどこだか知らないわ)

肝心なことをマーヤに聞き忘れた。ともう一度調理場へ戻って聞いてこようと足を止めたときだった。奥の角を曲がって誰かがこちらへ歩いて来るのが見えた。

(あれは……ソフィア様だわ)
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