クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「そうよ、今王都にいるわ。ジークのところへ行ったって、同じものを渡されるだけなんだから、会いに行く必要はないって言ってるでしょう?」

キリッと整えられた眉が顰められ、腕を組んで見下ろされるとやはりあのとき向けられた嫌な視線は間違いではなかった。自分はこの人から理由はわからないが嫌われているのだと直感した。

「あなたがいると、ジークは惑わされる。あの治療だって、いったい誰のせいで……」

「治療?」

「な、なんでもないわ」

うっかり口を滑らせてしまったとソフィアは視線を逸らし、口を噤んでバツの悪そうな顔をした。

(ソフィア様は、ジーク様が無償で貧しい人たちに治療をしていることを知っているんだわ)

「もしかして、その治療というのは貧困層への無償治療のことですか?」
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