クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
ソフィアの言う“枷”の意味が知りたくてアンナは今すぐにでもマーランダ施療院へ駆け出したい衝動に駆られる。

(ジーク様が無償で治療をしている場所って、マーランダ施療院の地下なんだわ。そこに行けば、きっと意味がわかる。だったら行って確かめたい)

「失礼します!」

アンナはそれ以上何も言わず、ソフィアの前を横切ったそのとき。

「勘違いしないで。ジークは国王なのよ? 身の程を知りなさい」

すれ違いざま、ソフィアの口からそんな捨て台詞が聞こえた。アンナはたまらず息を呑んで、立ち止まることなく走ってその場を後にした。
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