クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
アンナが立ち去って、しばらくソフィアはその場に佇んでいた。

なぜ、勢い任せにあんなことを言ってしまったのか、彼女はただ何も知らないだけなのに。ジークから気に掛けられていることに嫉妬して、大人げないことをしてしまった。と人知れず後悔していると、背後に何者かの気配を感じた。

「レオン、ずっと立ち聞きしてたのね?」

振り向きもせず、ソフィアは物影に隠れて身を潜めていた人物に言葉を投げる。

「バレてたか、気配を消していたはずなんだけど。本当に君は抜け目ないね」

「気配を消すのが下手なのよ」

ひょいと姿を現したレオンに嫌味を言うと、レオンは乾いた笑いを浮かべてソフィアの顔を覗き込んだ。

「なによ」

「いや、君が嫉妬するなんて、可愛いところもあるんだなって」

「うるさいわね」

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